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第24話 名前そのものを恐れ始める

Author: marimo
last update publish date: 2026-06-21 20:54:11

 ――反射的な否定。

「……違う」

 俊哉は、思わず口に出していた。

 考えるより先に、言葉が唇からこぼれ落ちた。否定しなければ、自分がその場で押し潰されてしまうような錯覚に襲われたのだ。

「久遠ひかるが――」

 その名前を聞いた瞬間、体が先に反応する。

 喉が締めつけられ、心臓が嫌な音を立てて脈打つ。手のひらには一気に汗が滲み、背筋を冷たいものが走った。

「違う! 俺は関係ない!」

 広告の打ち合わせの席で、空気が凍る。

 広々とした会議室には重厚な沈黙が落ち、誰一人として口を開こうとしない。壁際に控える秘書も、資料を持つ担当者も、ただ静かに俊哉を見つめていた。

 芸能界の裏の重鎮。

 表舞台に名前が出ることは少なくても、その一言で企画が動き、人が消え、人が救われると言われるほどの人物だった。

 俊哉は広告を受けていた関係で、この大物との会合に来ていた。

 そして、今、自分の置かれた立場を、恥を忍んで話し、何とか助けてもらえないかと、懇願していたのだった。

 資金繰りは悪化し、人脈も離れ始めている。

 誰かに手を差し伸べてもらわなければ、自分の人生そのものが崩れてしまう。

 そんな
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